18.08.23  更新:18.08.30

Q

その症状、生理不順でなくてがんかも?子宮頸がんとは?

先日、自治体の案内がきて、子宮頸がんの検診をしました。今回は何事もなく一安心したのですが、検診をしたものの子宮頸がんについて自分自身きちんと理解していないなと感じました。原因やどんな症状が出るのか分からないため、教えてほしいです。

専門家からの回答
子宮頸がんは子宮にできるがん。不正出血などの症状が見られる頃には進行が進んでいます。毎年の検診を心がけましょう。
3行でまとめると?
  • 子宮頚部にできるがんが、子宮頸がん
  • 20~30代女性のがんのなかでトップ!
  • 毎年の検診で早めの対処が肝心!

目次

子宮頸がんとは?

健康診断や市区町村の定期検診などで「子宮頚がん」という言葉を目にしたことはありますか?実際に何度か子宮頸がん検診を受けたこともあるけれど、病気のことは詳しく分からないという人も少なくないかもしれません。

子宮頸がんにかんする正しい知識を持つことで検診や早期発見の大切さを理解しましょう。

子宮は骨盤内の一番下にあり、7×4㎝くらいの小さな臓器です。子宮は通常、お腹のうえから自分で触れることはありませんが、妊娠によって大きくなったときや、子宮筋腫や子宮腺筋症でサイズが大きくなると、自分でもこぶ状のものを下腹部に触れることがあります。

子宮の主な役割は赤ちゃんを育てることですが、「子宮」が持つ意味は人によって大きく異なり、一概に「妊娠する場所」だけとはいい切れません。

子宮は、下半分の「子宮頸部」と上半分の「子宮体部」に分類されています。
子宮頸部と子宮体部は繋がっているため、明確な境界があるわけではありませんが、「内子宮口」と呼ばれる部分より下側(膣側)が子宮頸部となります。子宮頸部は子宮と膣を繋いでいる部分で細長い形をしています。妊娠中は、この子宮頸部が細くキュッとしまっていることで赤ちゃんが出ないように支えています。
子宮体部は上半分の「子宮本体」となる部分で、妊娠であれば赤ちゃんを育てる空間となります。

子宮にできるがんは、このどちらの場所にがんが発生するのかで「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分類されています。子宮頸がんは20~30代の女性のがんのなかでトップを占め、主にHPVというウイルスへの感染によって発生します。一方、子宮体がんは、40歳以降の閉経前後に発生しやすく、主な原因はホルモンのアンバランスです。

いずれも初期にはほとんど症状がなく、検診で偶然発見されることが多いため、年に1回の定期検診を受けることが、がんの早期発見には非常に重要になってきます。ある程度異常が進むと、不正出血や性交後出血、ピンク色や褐色のおりもの、水っぽいおりものが増えるなどの初期症状が見られることがあります。

少なくとも、これらの症状があって、半年以内に検診を受けていない場合は、直ちに婦人科を受診する必要があります。初期のがんでも、まだ局所の痛みや腹痛は出現しません。基本的に、がんで「痛み」という症状が出るのはかなり進行した段階です。なので、痛くないから安心とはいえませんし、逆に腹痛があったからがんの心配をしなくてはいけないわけでもありません。

どうして子宮頸がんができるの?

子宮頸がんの主な原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスへの感染です。ウイルスや細菌感染ががんの原因になっているケースは子宮頸がんだけではありません。例えば、ピロリ菌による胃がん、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによる肝臓がんなども、がんの大元は「感染症」なのです。

感染が起きると、ウイルスが入り込んだ細胞に炎症が起こります。つまり、細胞がダメージを受けるため、細胞はそれを修復しようとして変化していきます。実は、このダメージ→修復の過程で、細胞が増える速度に異常が生じて「増えすぎ」の状態になっていったものが「がん」と呼ばれる状態です。

性行為によるHPV感染

HPVは性行為によって感染するため、性交経験がない女性が子宮頸がんになる心配はありません。HPVへの感染を防ぐ方法は、ワクチンの接種とコンドームの使用です。ただ、HPVは肛門周囲などコンドームで覆い切れない部分にも存在しうるため、コンドームを確実に使っていても100%感染を防ぐことはできないこともあります。

HPVには100種類以上の「型」があり、そのうちの約15種類が「ハイリスクタイプ」と分類されています。16型や18型に代表されるハイリスクタイプに感染すると、細胞に変化が起きて子宮頸がんになっていくことがあります。

ただし、感染していきなりがんが発生するわけではなく、正常な細胞が徐々に変化をして「異形成」というグレーゾーンの状態になります。ウイルスに感染してから、大体3~7年かけてゆっくり細胞が変化していくので、途中の「異形成」の段階で異常に気付き、適切な治療を行えば「子宮頸がん」まで進行することは防ぐことが可能なのです。

異形成の段階では症状は何も出ないため、子宮頸がん検診を毎年受けることが非常に大事になってきます。HPV感染以外にも、喫煙は子宮頸がんのリスクを明らかに高めます。特に、女性は、若年から吸いはじめたり喫煙期間が長くなるとやめにくくなる傾向にあるため、タバコは直ちにやめた方がよいでしょう。

子宮頸がんの検査の流れとは?

子宮頸がんにかんする検査は、大きく分けて「スクリーニング(検診)」「精密検査」「病期(ステージ)診断のための検査」の段階に分けられます。

スクリーニング(検診)

スクリーニングとは、何も症状がない段階で定期検診として受ける検査のことです。いわゆる「婦人科検診」「子宮がん検診」と呼ばれているのは、このスクリーニング検査で、子宮頸部の細胞をこすり取って調べる「細胞診」を行います。検診の精度を上げるために、HPVへの感染を調べる

「HPVハイリスクタイプ」の検査を同時に行うこともできます。
症状がなくて「検診」で行う場合、費用は全て自費になりますので、通常は子宮頸部細胞診が3000~4000円、HPVハイリスクタイプ検査が5000円くらいかかります。

ただし、2年に1回は自治体の補助を使って検診を受けることが可能ですので、その場合は無料~1000円くらいで受けられます。

異常があれば精密検査

スクリーニング検査で異常が出た場合に行うのが精密検査です。コルポスコピーという拡大鏡で子宮頸部を細かく観察し、異常があると思われる部分の組織を切り取って検査します。精密検査からは、全ての検査が保険で行えます。コルポスコピーと組織診断を行うと、自己負担額は5000円くらいです。

組織診断で「軽度異形成」や「中等度異形成」と診断された場合は、その後の方針を検討するために、感染しているHPVの「型」を調べることがあります。この検査は必須の検査ではないので、組織診断後に必ず行うとは限りません。

HPVの何型に感染しているかを調べて、検査の頻度を決めたり、早めに治療に進んだ方がよいかどうかを判断します。HPV型別判定の検査も保険で可能ですが、自己負担額は6000~7000円です。

結果によっては手術に

組織診断で高度異形成またはそれ以上の結果が出た場合は、検査と治療を兼ねて「円錐切除」という手術を行います。子宮頸部の膣側の部分1~2㎝を円錐状に切り取って、より広い範囲・深い範囲の細胞の状態を調べます。

この段階で、高度異形成または上皮内がんと診断された場合は、円錐切除が「治療」も兼ねますので、通常はそれ以上の検査には進まず、再発していないかどうかを定期的な細胞診で見ていきます。

病期(ステージ)診断のための検査

円錐切除で浸潤がんと診断された場合は、さらに詳しい検査を行って病期(ステージ)を見極めていきます。CT・MRI・胃カメラや大腸カメラ・膀胱鏡・骨シンチグラフィなどの検査を必要に応じて行って、がんがどのくらいの範囲まで広がっているのかを確認します。

子宮頸がんの病期(ステージ)は1期から4期に別れています。

1期…がんが子宮頸部にとどまっている段階
2期…がんの広がりが骨盤の壁や膣の下3分の1まで達していない段階
3期…がんが広がって骨盤の壁や膣の下3分の1まで達している段階
4期…さらに広がったり遠隔転移がある段階

どの段階までがんが進行しているかによって、適切な治療が異なってくるため、治療を開始する前に病期(ステージ)を確認していく必要があります。

子宮頸がんの治療方法とは?

子宮頸がんの治療法は、がんの三大療法である「手術」「化学療法(抗がん剤による治療)」「放射線療法」です。

高度異形成や上皮内がんの場合は、前述の円錐切除という手術だけで病変をとり切れますので、通常はそれ以上の治療は行いません。円錐切除では、子宮頸部だけを切り取りますので、子宮体部は残っています。つまり、手術後でも妊娠が可能です。

子宮頸がんは20代から発生しうるため、発症後に「将来的に妊娠できる状態を保てるか」は大きなポイントになります。円錐切除で完治するためには、いかに早期発見をするかが重要なため、毎年子宮頸がん検診を受けることが大事になってきます。

円錐切除で浸潤がんであると診断された場合は、通常は子宮や卵巣やリンパ節を切除する手術を行います。ただし、がんの進行具合によっては先に化学療法を行って病変を小さくしてから手術を行ったり、手術は行わずに化学療法と放射線治療を行う場合もあります。

3つの治療法をどの時期にどのように組み合わせるかは、がんの広がり具合やその方の年齢・体力などに応じて決めていきます。

浸潤がんと診断された場合、基本的には子宮全体を摘出する手術を行いますので、治療後に妊娠はできなくなります。浸潤がんのなかでも、かなり初期のステージⅠa期で、強い妊娠希望がある場合に限って、子宮本体を残す手術を検討する場合があります。

浸潤がんに対して子宮全摘を行わなかった場合は、その分再発のリスクは上がりますので、妊娠を優先するのか根治を優先するのかを慎重に検討する必要があります。5年生存率は、1期92.4%・2期78.0%・3期58.6%・4期19.5%です。

生存率という点からも、がんが進行する前に発見して適切な治療を行うことが重要ですので、年に1回の検診を受け、不正出血など少しでも気になる症状があれば婦人科を受診するようにしましょう。

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私がお答えしました

産婦人科医 清水なほみ
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~院長。女性特有の病気を中心に日頃の不調を改善するためのアドバイスをいたします。

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