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月経困難症とは?生理中のひどい腹痛や頭痛の原因と治療方法

ここ数ヶ月、ひどい生理痛に悩んでいます。子宮がぎゅうっと締め付けられる感じがしたり、頭痛が長い時間続いたりして、日によっては仕事に集中できず、家事も手に付かず、困っています。生理痛の症状についてネットで調べてみたところ、月経困難症と呼ばれるものがあることを知りました。私も月経困難症?月経困難症の症状や原因などについて教えてください。

専門家からの回答
日常に支障をきたす痛みがある「月経困難症」。ホルモン分泌が原因かも。疾患の可能性もあるため受診をしましょう。
3行でまとめると?
  • 日常に支障をきたす生理痛は「月経困難症」
  • 婦人科での治療や生活の見直しで症状を緩和
  • 疾患の可能性もあるため、早めの受診を

日常に支障をきたす「月経困難症」とは?

生理中にあらわれる強い下腹部痛や腰痛、頭痛などのつらい症状は、女性にとって深刻な悩みですよね。痛みだけでなく、吐き気、嘔吐、下痢、疲労感、神経過敏、めまいなどの症状があらわれる人もいます。

生理中の症状の程度は人によってさまざまで、ほとんど痛みがなく普段と同じ生活ができる人もいれば、下腹部痛や腰痛に悩まされて立っているだけでもつらい、という人もいます。

プロスタグランジンの作用が影響

生理痛が起こるのは、子宮内膜から分泌される「プロスタグランジン」というホルモンの作用によるもの。このホルモンが子宮の収縮を促すために下腹部痛が生じます。さらに、プロスタグランジンは痛みや炎症を起こす作用があるので、下腹部痛だけでなく、頭痛や腰痛も引き起こしてしまうのです。

また、腸のぜん動運動を促す作用もあるため、分泌量が増えるとぜん動運動が亢進(こうしん)してそれを不快感として感じ、吐き気をもよおすことがあります。このプロスタグランジンの分泌量には個人差があり、体質的に分泌が多い人では痛みや吐き気などの症状が強く出る傾向があります。

このような、腹痛や腰痛、頭痛などの生理痛、吐き気や下痢などの症状がひどく、痛みのために寝込んでしまう、仕事や学校を休んでしまうなど、日常生活に支障をきたすほどの状態を「月経困難症」といいます。

月経困難症が引き起こされる原因とは?

月経困難症のなかには、特に原因となる疾患がない「機能性月経困難症」と、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症など何らかの疾患が原因となって起こる「器質性月経困難症」があります。

強い子宮の収縮

機能性月経困難症は、強い子宮収縮が原因で、子宮が未成熟な思春期に多く見られます。子宮が未成熟だと、子宮の入口が硬く狭いので、経血を押し出すのに子宮が過剰に収縮するため、痛みが強くなってしまうのです。

また、子宮内膜から分泌されるプロスタグランジンの分泌が体質的に多い人は、子宮が過剰に収縮して痛みが強くなります。

さらに、冷えやストレスは血行を悪くして、プロスタグランジンの体外への排出を滞らせてしまうので、痛みの原因となってしまいます。

疾患によるもの

器質性月経困難症の原因として挙げられる疾患としては、「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮腺筋症」があります。

子宮内膜症
子宮内膜症は、本来なら子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜が子宮以外にでき、そこで生理の周期に伴って増殖と剥離を繰り返す疾患です。通常、生理時に子宮の内側からはがれた内膜は腟から体外に排出されますが、子宮以外の場所でできた内膜は排出されずにお腹のなかにとどまり、炎症や痛み、癒着を引き起こします。

この子宮内膜症は不妊の原因になることもあるため、注意が必要です。

子宮内膜症のうち、特に卵巣にできたものは、溜まった古い血液がチョコレートのように見えるので、「卵巣チョコレートのう胞」と呼ばれます。卵巣チョコレートのう胞では、まれに悪性化することがあるので注意が必要です。

主な症状としては、以下のような症状が挙げられます。

・生理痛が激しく、年々ひどくなってきた
・排便の時に肛門の奥が痛い
・性交中に腟の奥が痛い
・生理の時以外に下腹部痛や腰痛がある
・子どもが欲しいのに、なかなか妊娠しない

子宮内膜症は、生理が繰り返されるたびに進行する疾患ですから、昔の女性に比べて生涯の生理の回数が多い現代女性は子宮内膜症のリスクが高くなっているといえます。

子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性のこぶで、ごく小さいものまで含めると成人女性の3人に1人は持っているといわれるほどよくある疾患です。

子宮筋腫は、発育する方向によって3つのタイプに分けられます。子宮の外側に向かって発育する「漿膜下(しょうまくか)筋腫」、子宮の筋層内で発育する「筋層内筋腫」、子宮の内側に向かって発育する「粘膜下筋腫」で、筋層内筋腫が約70%を占めています。

主な症状としては、以下のような症状が挙げられます。

・出血量が多くなる(過多月経)
・生理痛がひどい
・お腹にしこりを触れる
・腰が痛い
・頻尿
・便秘
・貧血

子宮筋腫と診断されても、自覚症状がなければ特に治療をする必要はありませんが、定期的な検診で経過を見ることが大切となります。

子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が、子宮の筋層内で生理の周期に伴って増殖する疾患で、子宮内膜症と同じように、生理が繰り返されるたびに進行します。疾患が進行すると、子宮筋層が厚くなり、子宮が大きくなります。

子宮腺筋症は、30代後半から40代以降の出産経験のある人に多く見られる傾向がありますが、20代や妊娠経験のない人にも見られます。

主な症状としては、以下のような症状が挙げられます。
・経血量が多くなる(過多月経)
・生理痛がひどい
・貧血
・骨盤痛

子宮腺筋症は、子宮筋腫や子宮内膜症と合併していることもあり、現代女性のQOL(Quality Of Life)を著しく損なう疾患のひとつです。

月経困難症を改善するには?

ここまで、月経困難症が引き起こされる原因についてお話ししてきました。続いて、生活に支障をきたすほどの月経困難症をどうしたら和らげることができるのか、ご紹介したいと思います。

婦人科での検査

まず、「痛み止めを飲んでも効かない」「痛み止めを飲む回数や量が増えてきた」など症状がひどい場合には我慢しないで婦人科を受診し、何らかの疾患がないかの確認をするとともに、必要に応じて適した治療を受けるようにしましょう。

婦人科で行う検査としては次のようなものがあります。

・内診(子宮や卵巣の大きさなどの状態を診る)
・超音波検査(画像で子宮や卵巣の状態を診る)
・血液検査(子宮内膜症で陽性になりやすい腫瘍マーカーなどをチェック)

これらの検査で、月経困難症の原因となる疾患が潜んでいないか調べます
子宮筋腫や子宮内膜症など何らかの疾患が原因であった場合は、まずそれらの治療を行い、特に疾患がなければ鎮痛薬の内服のほか、漢方薬が治療に用いられます。

漢方薬で原因となる体質を整える
漢方薬は、体全体を整え、自然治癒力を高めていくもの。
「この病気にはこの薬」という処方をされるのではなく、症状や体質、性格などその人をトータルに診て処方されます。たとえば、月経困難症の原因となる「冷え」や「お血(血の滞り)」などの体質を改善して症状を緩和します。

漢方薬は自然の生薬が原料なので、体内への吸収が食材と似ています。そのため、食事によって吸収が阻害されることも。飲むタイミングは、最も吸収のよい食前(食事の約30分前)や食間(食事と食事の間の空腹時)が効果的です。ただし、飲み忘れたら食後でもOK。
タイミングよりも、決められた量を守ってきちんと飲むことが大切なのです。

低用量ピルで子宮内膜を薄く保つ
低用量ピルも、月経困難症の治療に用いられます。低用量ピルを内服することによって排卵が抑えられ、子宮内膜が薄く保たれるため、剥がれ落ちる内膜が少なくなって経血も減り、痛みも軽減されます。

飲み方としては、基本的に毎日内服、もしくは3週間内服したのち1週間休薬します。飲む時間は、朝食後、夕食後など自分で飲み忘れをしにくい時間を決めて規則正しく内服するようにします。もし飲み忘れに気づいたら、すぐに1錠内服し、通常の時間にさらに1錠内服します。

生活習慣の見直しも大切

月経困難症の症状を悪化させる原因が潜んでいないか、日常生活を見直してみることも大切です。体の冷えや血行不良は生理痛の原因となるので要注意。冷えると子宮の筋肉が硬くなってスムースに収縮できないため、プロスタグランジンが過剰に分泌されてより強く子宮が収縮してしまうのです。

冷えだけでなく、ストレスや運動不足なども血行不良を招いて生理痛の原因となってしまいます。

日常生活の工夫で、憂鬱な症状を緩和することは可能です。思い当たる生活習慣がある場合は、それを改善することから始めてみましょう。

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私がお答えしました

婦人科医 松村圭子
成城松村クリニック院長。女性の生涯に寄り添い、女性に起こりやすい不調の悩みにわかりやすくお答えいたします。

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