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生理時に起こる体の痛みの原因と緩和方法とは?

生理がくると腰や子宮の痛みを強く感じます。友達は「眠くなるだけ」とのことなのに、どうしてわたしはこんなに痛むのでしょうか?原因や痛みを緩和する方法について教えてください!

専門家からの回答
生理による体の痛みの原因は3つあります。低用量ピルの服用や生活習慣の見直しで改善を
3行でまとめると?
  • 生理直前から発生する体の痛みの種類はさまざま
  • 強い痛みや呼吸困難があるような場合は病院の受診を
  • 低用量ピルの服用や運動・食生活など生活の改善で症状を緩和

生理周期に伴って起きるさまざまな痛み

生理前や生理中は、下腹部だけではなく体のさまざまな部位が痛くなることがあります。生理に伴う不調である「月経前症候群」の症状として、生理の1~2週間前から腹痛・腰痛・胃痛・背中の痛み・肩や首のコリから来る痛み・頭痛・胸の張りによる乳房の痛みなどが出現したり、片頭痛を持っている人は生理前に症状が悪化し頭痛が起こったりする場合もあります。

また、生理中は、下腹部痛だけでなく人によっては骨盤全体が痛くなったり、足の付け根のリンパが痛んだり、恥骨や尾てい骨に響くような痛みが出る場合も。生理前に胸が張りやすい人は、生理が来ると張りが治まることが多いのですが、生理中も胸が張ったままで痛みを感じたり、乳首が敏感になってヒリヒリした痛みを伴ったりすることもあるようです。

生理痛がひどくなった状態を「月経困難症」といいますが、この月経困難症に伴う症状として、下腹部の痛み以外にも、腰痛や下痢、腹痛・吐き気や胃の痛み・頭痛などが出現する場合があり、このレベルの生理痛は治療の対象となります。

また、頻度は非常に低いのですが、子宮内膜症がある人で子宮の内側に存在するはずの子宮内膜が肺にできると、生理のときに肺に穴が開いてしまう「気胸(ききょう)」という状態になります。この気胸は急激な胸・背中の痛みと呼吸困難感を引き起こすことがあります。

強い痛みやしびれ・呼吸困難などの症状を伴う場合は、ただの生理時期の不調と判断せずに受診しましょう。

生理前から生理中に起きる体の痛み、3つの原因とは?

生理の周期に伴って出現する痛みの原因は、主に3つあります。
1つ目は、ホルモンの「波」によるもの。2つ目は、子宮内膜で作られる「プロスタグランジン」と呼ばれる痛みの伝達物質。3つ目は血液のうっ滞です。

[ 1 ] ホルモンの波

1つめはホルモンの波。わたしたちの体は、いくつものホルモンが働いてくれることで体調を調節しています。このホルモンの分泌には「波」があり、その波が発生することで体調の変化が起きやすくなるのです。

生理に大きくかかわるホルモンには「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」があります。卵胞ホルモンは美容のホルモンとも呼ばれ、肌や髪をツヤツヤとさせて女性らしい体を作る働きがあり、黄体ホルモン妊娠を司るホルモンとも呼ばれ、妊娠にむけた準備をする働きがあります。

そして、これらのホルモンは、生理中は分泌量が低くなります。生理から1週間程経つと徐々に排卵が近付くにつれて卵胞ホルモンだけが増えていきます。その後、生理開始から2週間程経つと排卵が直前になり、卵胞ホルモンの分泌量が少し下がります。

そして、生理開始から20日程経過した排卵後には黄体ホルモンが一気に増えて、卵胞ホルモンも再度上がります。排卵後10日くらいを過ぎると徐々に2つのホルモン分泌量は下がり始め、生理直前には急降下

片頭痛が引き起こされたり、子宮内膜が不安定になって腹痛や腰痛が出現しやすくなるのは、このホルモンが「下がる」ときなのです。

[ 2 ] プロスタグランジンの分泌

2つ目の原因となる「プロスタグランジン」は痛みの伝達物質であり、子宮内膜から放出されます。排卵された卵巣が子宮内膜に着床しなかった(妊娠に至らなかった)場合、子宮内膜ははがれ落ちることにあります。この子宮内膜がはがれ落ちるときに一気にプロスタグランジンが出るため、生理が来る直前から初日が一番痛みが出やすくなるのです。

プロスタグランジンは子宮内膜が厚いほど多く産生されるため、内膜が厚い、つまり生理の出血量が多い人ほどプロスタグランジンがたくさん作られているということです。
子宮のまわりに良性の腫瘍ができる「子宮筋腫」や子宮内膜と似た組織が子宮筋層と呼ばれる場所に増殖してしまう「子宮腺筋症」などは、生理痛がひどくなる原因となります。

さらに、プロスタグランジンは子宮だけではなく、胃や腸の壁や血管にも作用します。生理のとき、子宮は血液を押し出そうと収縮しますが、プロスタグランジンが作用するとさらに子宮の壁が強く収縮します。そのため、下腹部には絞り出すような痛みが出てくることがあります。

胃の壁に作用すると胃痛や吐き気の原因に、腸だと下痢の原因となるものです。血管の壁にも作用しますので、血管が収縮して血液の流れが悪くなったり、血管の攣縮(れんしゅく)のせいで頭痛が引き起こされやすくなったりします。
このように、プロスタグランジンは子宮以外にも体の色々な場所に影響を出してしまうものなのです。

[ 3 ] 血液のうっ滞

3つ目の血液のうっ滞は、ホルモンの影響を受けて骨盤内の血液の流れが悪くなる症状です。血液がめぐらないとその部分は酸素不足になりやすくなり、痛みが出る原因となります。もともと冷え性や血行不良がある人ほど、症状は出やすくなります。

血液が子宮の周りに滞ったり、骨盤内でうっ滞したりすると、下腹部の痛みや腰痛・下肢のだるさなどの症状に繋がります。よく、「体を冷やすとよくない」といわれるのは、冷えることによって血管が細くなって、血液の流れが悪くなるからなのです。

もともと子宮内の温度は手足の温度よりかなり高くなっていますから、冷えが直接「子宮内を冷やす」わけではありません。
血液が滞りやすくなる要因としては、冷え以外に筋肉量の不足や運動不足が挙げられます。筋肉はポンプの役割をして血液を押し流す働きをします。そのため、特に下半身を動かす機会が少ない人は、骨盤内や下肢の血行が悪くなりやすいといえます。

生理時に起きる体の痛みの緩和方法とは?

ここまで、生理時に起こる体の痛みの原因などについてお話ししてきました。では、これらを改善し、憂鬱な気持ちにならずに生理期間を過ごすにはどうしたらよいのでしょうか?

低用量ピルを処方してもらおう

痛みの原因の1つ目であるホルモンの「波」を抑えてくれるのが、低用量ピルや超低用量ピルです。
ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれており、体内のホルモンの波を一定に保つ働きがあります。以前までは毎月消退出血を起こすタイプのものしかありませんでしたが、最近は120日間連続服用できるタイプのピルも発売されていますので、毎月1回ホルモンの波を起こして生理を来させなくてもよくなっています。

また、低用量ピルは子宮内膜の厚みを薄く保つ効果もありますので、内膜から作られるプロスタグランジンも減らすことができ、痛みの原因のうち2つを同時に解消してくれるものなのです。生理前の不調もあり、生理痛もひどいという人や、生理の量が多すぎて貧血になってしまうというような人は、早めに婦人科を受診してピルについて相談してみることをおすすめします。

市販の痛み止めで応急処置

原因の2つ目である「プロスタグランジン」の産生を抑えるのが、いわゆる痛み止めです。市販の生理痛治療薬や頭痛薬のほとんどは、このプロスタグランジンを抑えることによって痛みを出しにくくするタイプのものです。

市販の痛み止めはプロスタグランジンが作られる過程をブロックするものなので、プロスタグランジンが多量に放出された後、つまり痛みがしっかり出てしまってから痛み止めを飲んでも効果がありません。
「痛みが出そうだな」くらいの早めのタイミングで飲むことで、痛みを緩和することができます。

痛み止めを活用するポイントは、少しでも痛みを感じたら早めに服用することです。ただし、「服用しても痛みが治まらない」、「一旦は治まるけれど2~3時間で効果が切れてしまう」というような人は市販薬で対応せずに受診をするとよいでしょう。

生活習慣を見直そう

原因の3つ目である、血液のうっ滞を改善するには、運動や食習慣の改善、体を温めるなどの生活改善が有効です。運動習慣がない人はウォーキングなどの軽い運動をコンスタントに行うようにしましょう。

また、お風呂をシャワーで済ませている人は20~30分じっくり湯船浸かって体を温めたり筋肉をリラックスさせてあげるとよいでしょう。血液の流れをよくする漢方もありますので、生活習慣を改善しても冷えが気になったり血行が悪い状態が続いている人は、婦人科や漢方専門病院を受診してみましょう。

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私がお答えしました

産婦人科医 清水なほみ
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~院長。女性特有の病気を中心に日頃の不調を改善するためのアドバイスをいたします。

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