17.05.29  更新:18.04.06

Q

生理不順で病院にかかるとどんな検査をするの?

生理不順が数ヶ月続いており、婦人科の受診を考えています。婦人科を受診したことは今まで一度もなく、どのような検査をするのか不安です。生理不順で婦人科にかかる場合、どのような検査をするのか教えてください。

専門家からの回答
一言で生理不順と言っても、原因はさまざま。病気の可能性もあるので、早めに受診を。
3行でまとめると?
  • 生理周期や生理期間が正常から外れていないか確認を
  • ホルモン治療や漢方など、婦人科では原因に合わせた治療を用意
  • 生理不順は体からSOS、規則正しい生活を心がけて

生理不順とはどいう状態のこと?

月経(生理)不順とは、生理周期が正常範囲からずれてしまったり、無排卵で生理が来たりしていることを指します。周期が20日だったり60日だったりと、ばらつきが大きい場合も生理不順です。

※「生理」は医学的には「月経」と言いますが、ここでは以下、一般的になじみの深い「生理」という表記に統一いたします。

生理周期の数え方とは?

生理周期とは、「月経が始まった日から次の月経までの日数」のことです。時々、生理が「終わった日」からの日数をカウントしていたり、出血が続いている日数を数えている方がいらっしゃいますが、それは間違いです。

正常な生理周期は25日~38日くらいと定義されており、これより短ければ「頻発月経」、長ければ「稀発月経」と言います。ただ、多少の個人差はありますから、24日周期や39日周期だと直ちに「異常」と判断するわけではありません。

生理周期がばらついている場合は無排卵周期になっている場合もありますので、基礎体温で排卵の確認をした方がいいでしょう。排卵周期の場合、排卵日は「生理周期の日数―14日」頃になります。つまり、生理周期が30日の人であれば、生理が始まって16日目あたりが排卵日になるという計算です。

初経つまり生理が初めて来てから1~2年間は、生理周期がばらついたり無排卵周期のまま生理が来ることは珍しくありません。いきなり正常な周期にならないからといって直ちに治療が必要なわけではありません。

治療が必要な生理周期

生理が20日未満で何度も来る場合や、出血期間が10日以上続く場合は、トータルの出血期間が長くなるのでいったんはホルモン剤で周期を整えた方がいいでしょう。

また、閉経が近づいてくると、生理周期は乱れてきます。いわゆる「更年期」に差し掛かって起きる生理不順ですね。この場合も、周期が長くなっていくパターンならそのまま放置しても問題はありません。思春期と同様、周期が短すぎる場合は、出血期間が長すぎる場合に受診を検討するといいでしょう。

思春期や更年期ではない年代で、受診を考えた方がいいのは下記のような症状がある場合です。

 ・生理周期が20日以下または60日以上
 ・3ヶ月以上月経が来ない
 ・周期が長くたまに来る月経が多量出血になる
 ・10日以上出血が続いて止まらない
 ・不定期な出血はあるが1~2日ごく少量のみで終わる
 ・周期が不定期で妊娠を希望している
 ・周期が短い、または出血期間が長く貧血を指摘されている

生理不順が起こる原因とは?

生理不順になるのは、正常な生理の流れのどこかに、支障が起きているからです。正常な生理は次のようなホルモンの流れで起きるようになっています。

脳の視床下部 → 脳の下垂体 → 卵巣 → 子宮

視床下部から「ホルモンを出しなさい」という指令が下垂体に伝わります。下垂体から「卵を育てなさい」「排卵させなさい」という指令が卵巣に伝わります。卵巣が指令を受けて「卵胞ホルモン(エストロゲン)」を作ると子宮内で子宮内膜が育ちます。排卵の指令によってきちんと排卵が起きると、卵巣から「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が出て、子宮内膜が着床の準備をします。妊娠していなければこれらの2種類のホルモンが排卵後2週間で減っていくので、子宮内膜がはがれて経血として出てきます。

ストレスと生理不順の関係性

流れの上流である視床下部は、いわゆる「ストレス」に弱い部分でもあります。なので、何らかの精神的負担が大きくなったり、生活リズムが乱れたり、体重の急激な増減などにより、コントロール機能がダメージを受けてうまく指令が出せなくなることがあります。

下垂体という場所は、脳の中心部にあり、卵巣に関わるホルモン以外にも、成長ホルモンや甲状腺を刺激するホルモンなどさまざまなホルモンを出している「脳の司令塔」のような場所です。

視床下部から指令を受けて働くため、上記のような何らかの「ストレス」がかかった時に、命令のホルモンがうまく出せなくなってしまうことがあります。代表的な下垂体の異常が体重減少による生理異常です。

脳にとって適切な体重以下になることは「生命の危機」と捉えられるため、生命維持に必要な機能以外は極力抑えようとします。その結果、卵巣への命令を差し控えて、ホルモンを出さないようにしてしまうのです。

病気による生理不順

また、下垂体に腫瘍ができて、同じ下垂体から分泌される「プロラクチン」というホルモンが出すぎたり、甲状腺機能異常によって下垂体の機能が抑えられたりしても、卵巣への命令がうまく出せなくなって生理不順を引き起こします。

脳からきちんと指令が来ていても、卵巣の働きが悪いと卵巣から出るホルモンが不足して生理不順になります。卵巣機能の低下を引き起こす要因はさまざまで、タバコ・バランスの悪い食事・冷え・血行不良・抗がん剤や放射線治療・卵巣の手術など多岐にわたります。

また、多嚢胞性卵巣症候群といって、卵巣の壁が厚いために排卵がうまくいかず、ホルモンのバランスが乱れたり男性ホルモンが高くなりすぎたりする病気があります。

子宮そのものに異常があって生理不順になる割合はまれですが、例えばアッシャーマン症候群などのように、子宮内膜の異常で生理が来なくなる場合もあります。また、膣閉鎖や子宮形成不全など、膣や子宮の形態的な先天異常のせいで生理が来ないケースもあります。

生理不順の種類と症状とは?

生理不順には、生理期間が短いケースと長いケースなど、その症状に応じて種類が異なります。

生理周期が短い、頻発月経とは?

生理の初日から次の月経が来るまでの日数が「生理周期」ですが、この期間が25日未満の場合「頻発月経」といって生理が頻回に来すぎている可能性があります。

稀に、排卵までの日数がとても短く、正常な排卵周期なのに周期が23日~24日になる場合があります。周期が25日未満でも、毎月の周期が安定していて排卵のサイクルになっていれば問題はありません。

生理周期が25日未満になることもあれば40日以上になることもあるといったパターンの場合は、生理不順に伴う頻発月経の可能性が高くなります。周期が短くなったり長くなったりでばらつきが大きい場合、周期が25日未満で基礎体温上排卵が確認できない場合、少量の出血が月に何度もある場合などは、すべて異常な生理の可能性が高いため受診が必要です。

また、生理が頻回に来るとそのせいで貧血になってしまうこともありますので、動悸や息切れなどの貧血症状がある場合も早めの受診が必要です。生理周期が短い場合、多くは無排卵周期の月経になっています。基礎体温をつけてみて排卵していないようでしたら、プロラクチンや甲状腺ホルモンも含めて、ホルモンのバランスに異常がないか検査を受けた方がいいでしょう。

生理周期が長い、稀発月経とは?

逆に周期が40日以上で長い場合を「稀発月経」といいます。排卵までに時間がかかるか、無排卵になっている場合に周期が長くなります。

多少周期が長めだけれど、45日以内には生理が来ていて排卵もしているという場合は、必ずしも治療は必要ありません。ただ、周期が長すぎる、特に3ヶ月以上月経が来ないことがある場合や、排卵が確認できない場合は卵巣から出ている女性ホルモンがかなり不足している可能性が考えられますので受診が必要です。

生理中の出血期間が長い、過長月経とは?

生理の出血期間が8日以上の場合を「過長月経」といいます。少量でだらだら続く場合は、無排卵周期になっているか、不正出血を生理とカウントしてしまっている可能性があります。

また、生理の出血量が多くて出血期間も長い場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症など何らかの子宮の病気があって出血量が増えている可能性があります。いずれも、検査をして治療が必要な異常がないかを確認する必要があります。

生理中の出血期間が短い、過少月経とは?

生理期間が1~2日と短かったり出血量が極端に少ない場合を「過少月経」といいます。卵巣機能が低下していることが多く、無排卵周期になっていることがほとんどです。45歳以上で閉経が近いせいで過少月経になっている場合は、必ずしも治療は必要ありません。しかし、20代や30代で過少月経になっている場合は、足りないホルモンを補う治療が必要になることがあります。

更年期による生理不順

通常は45歳くらいからを「更年期」と呼びますが、早い方は40代に入ると更年期様の症状が出たり、それに伴って生理不順になってくることがあります。極端に周期がばらつく場合や、更年期症状が気になる場合、そして骨密度低下や高脂血症を指摘された場合は、「年だから」と放置せず、早めにホルモン補充を開始した方がいいでしょう。

生理不順や無月経を放置すると、不妊のリスクになったり、必要なホルモンが足りないせいで骨粗鬆症のリスクが上がったりします。特に、過少月経や3ヶ月以上の無月経は、放置せずに早めに婦人科で検査や治療を受けることをお勧めします。

基礎体温を測り、排卵の有無の確認しよう

生理周期が乱れているなと感じたら、まずは基礎体温をつけて排卵の有無を確認してみましょう。

基礎体温の測り方

基礎体温は、「婦人科体温計」という基礎体温専用の体温計で測ります。 毎朝目が覚めたら体を起こす前に体温計を口の中に入れ、舌の下で体温を測ります。体温を記録しているだけでは意味がないので、測った体温をグラフにつけていきます。

最近は体温計にグラフ化機能がついていたり、体温を入力するとグラフ化してくれるアプリなどもありますが、体温計やアプリの画面ではメモリが小さくて低温期と高温期の差が分かりにくい場合があります。

デジタルの記録で、排卵の有無がハッキリしない場合は、紙のグラフ用紙にきちんとグラフをつけてみるといいでしょう。基礎体温は、毎日「同じ時間」に測れなくても大丈夫です。最初に目が覚めた時に測ればよいので、休日など起きる時間が遅くなった時も、その時間で測定してみてください。

基礎体温で確認するのは、次の2点です。

・生理周期・低温期と高温期の差があるか
・高温期の持続期間

これらを自分で見て、正常かどうかの判断が難しい場合は、つけたグラフを持参し婦人科で相談してみることをお勧めします。

婦人科での検査方法と治療とは?

生理不順の検査は、主に超音波検査とホルモン検査になります。婦人科を受診すると、まずは問診でこれまでの生理周期・普段の経血量や出血期間・体重の増減の有無・飲んでいる薬剤の有無などを確認されます。

超音波検査とホルモン検査

その後、超音波検査で子宮の形や大きさに異常がないか、卵巣が腫れたりしていないかなどを確認します。超音波検査では、子宮筋腫や卵巣嚢腫の有無も確認できます。

ホルモン検査では、下垂体ホルモン・女性ホルモン・男性ホルモン・プロラクチン・甲状腺ホルモンなどに異常がないかを調べます。また、糖尿病などの合併が疑われる場合は、内科的な内容の採血も一緒に行うこともあります。

生理不順の治療方法とは?

生理不順の治療は、漢方治療やホルモン療法になります。無排卵の場合、妊娠の希望の有無によって治療法が異なってきます。妊娠の希望がある場合は、排卵誘発剤を使って卵巣の働きを助けるような治療が必要になります。

妊娠の希望がない場合、無理矢理排卵させることは却って卵巣の負担になってしまいますので、通常は排卵誘発剤は使いません。ホルモンの異常が軽い場合は、漢方薬による治療や生活改善を試みながら、基礎体温で排卵周期になるかどうか確認します。

生理不順の原因に合わせた治療法

ホルモン異常が顕著な場合や、漢方治療が無効な場合は、低用量・超低用量ピルを使ったりカウフマン療法といったホルモン治療を行います。高プロラクチン血症が原因の場合は、プロラクチンを下げる薬を使います。

甲状腺機能異常が原因の場合は、内科で甲状腺の治療を優先して行います。体重の増減による生理不順の場合は、適切な体重に戻すことを優先する場合もあります。バランスの良い食事や保温を心がけ、体重を適切に保つだけで排卵周期になることもありますので、まずは生活習慣を見直してみましょう。

まずは、生活習慣を見直すことが大切

生理不順の原因は、主に脳から卵巣に命令を出しているホルモンの異常か、卵巣機能の低下です。これらを引き起こすような生活習慣を続けていると、生理不順になることがあります。以下のような生活「悪」習慣が身についていないかチェックしてみましょう。

 ・睡眠時間が短い
 ・睡眠をとる時間帯がバラバラ
 ・欠食が多い
 ・炭水化物中心のメニューで肉や魚を食べていない
 ・甘い物を食事代わりに食べている
 ・湯船につからずにシャワーで済ませている
 ・全く運動をしない
 ・極端に体重が少ない、または多い
 ・緊張状態が続いてリラックスタイムが取れていない
 ・タバコを吸っている

上記の生活習慣の見直しは、生理不順だけでなく、そのほかの体調不良を予防することにもつながります。

バランスのよい食事と適度な運動で適切な体重を保ち、規則正しい睡眠リズムとリラックスタイムを確保することは、万病の予防につながるといってよいでしょう。生理不順は、「体に何らかの負担がかかっていますよ」という、非常に分かりやすいサインです。体からのアラームを見逃さず、今の自分の生活を見直してみてくださいね。

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私がお答えしました

産婦人科医 清水なほみ
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~院長。女性特有の病気を中心に日頃の不調を改善するためのアドバイスをいたします。

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