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生理前に微熱を感じるのはなぜ?

生理前から生理が始まる頃にかけて、体がほてって熱っぽく感じることがあります。風邪による微熱なのかと思っても、鼻やのどに風邪の症状はありません。なぜ生理前に微熱を感じるのでしょうか?

専門家からの回答
排卵後に分泌される黄体ホルモンによって月経前に微熱があるように感じることがあります。
3行でまとめると?
  • 月経前症候群の症状として「熱があるように感じる」という症状がある
  • 月経前に多く分泌される「黄体ホルモン」は体温を上げる作用がある
  • 月経前症状の改善にはピルや漢方を使用することも

生理前に熱っぽく感じるのは黄体ホルモンのせい

生理が始まる少し前に、妙に体が熱っぽかったり、微熱が続くことってありませんか?
これには女性ホルモンが密接に関係しているのです。

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる2種類のホルモンがあります。エストロゲンが骨格を形成し、髪や肌の潤いを与え、女性らしさをつくってくれるホルモンであるのに対し、プロゲステロンは妊娠を助けるホルモンとして、基礎体温を上げる働きがあります。

生理前に感じる熱っぽさは、この2つのホルモンのうち、プロゲステロン(黄体ホルモン)の働きが体内で優位になることで、引き起こされるとされています。

生理前の微熱は心配しなくて大丈夫?

生理前に体温が上がるのは、特に変なことではありません。
生理が始まる1~2週間ほど前は、黄体期と呼ばれる時期に入ります。プロゲステロンの働きが優位になり、基礎体温が高くなることから「高温期」とも呼ばれています。

ただ、「高温期」によって体温が上がるといっても、36度台後半で、37度を超えることはありません。
実際に熱を測ると37度以下なのに熱があるように感じる場合は、月経前症候群(PMS)である可能性もあります。

生理前の微熱と同じ時期に起こる月経前症候群は、イライラや不安などといった精神的な不調から、腹痛・腰痛・頭痛・めまいなどの体の不調まで、さまざまな症状を引き起こします。「微熱が続く」「熱っぽい感じが続く」といった症状も、月経前症候群の症状の1つ。

月経前症候群によって黄体ホルモンの影響を大きく受けてしまう人は、実際には37度以上の熱がなくても微熱があるように感じてしまったり、自律神経のバランスが乱れて体温調整がうまくいかず、熱っぽい感じになることがあります。

また、実際に熱が37.3℃以上の状態が続く場合は、体内に炎症を引き起こすなど、生理による微熱以外に他の原因が存在する可能性が考えられます。

基礎体温を知っておこう

生理前の軽い微熱か、月経前症候群かどうかを判断することは、体調のケアをするうえでも大切なことです。月経前症候群であれば、婦人科に相談するなどの対処も必要になってきます。

これらを判断する上でやっておきたいのは、自分の基礎体温を知っておくこと。
女性の体には、1カ月の間で、「低温期」と「高温期」と呼ばれる時期があり、それぞれの時期によって平均の体温が変わります。生理が終わってから排卵が始まるまでの低温期と、排卵が始まってから生理が始まるまでの高温期の体内温度の差は、0.3度以上といわれています。

基礎体温を測るためには、小数点第2位まで正確に体温を測ることができる、婦人科体温計を使用しましょう。風邪などを判断するときに使うような普通の体温計だと、細かい体温まで把握ができないので、ご注意ください。

低温期と高温期、それぞれで自分の体温を把握しておくために、専用の基礎体温表や簡単なメモ、携帯のアプリを使ってみるのも良いでしょう。ご自身の低温期の平均体温と高温期の平均体温を比べてみて、その差が普段より大きかったり、高温期に熱っぽさが強い場合は、月経前症候群である可能性があります。

生理による微熱じゃない可能性も?症状の見分け方

生理前に体温が上がったからといって、必ずしもプロゲステロン(黄体ホルモン)が原因であるとはいえません。人間の体温が上がる要因には、さまざまなものがあります。ここでは、生理前の微熱と、ほかの要因による発熱との違いを、いくつかのケースにわけて、わかりやすくご紹介していきましょう。

風邪による微熱との違い

もちろん、月経前に風邪をひいても熱が出ますが、「毎月必ず月経の1~2週間前に風邪をひく」ということは珍しいですから、月経周期との連動性をしっかりと見てみると良いでしょう。

また、風邪の場合は鼻水や咳などの症状を伴っていたり、熱の高さが37.5度を超えるなど、はっきりとした「発熱」が見られます。プロゲステロンの作用で「熱っぽい」と感じている時は、実際に測ってみると36度台後半といった正常範囲か、37.3度以下の微熱であることがほとんどです。

また、体の倦怠感や吐き気、寒気も風邪の明らかな諸症状です。早めはやめの判断をして、風邪薬の服用か病院への受診を心がけましょう。

妊娠による微熱との違い

妊娠による微熱には、いくつかの特徴があります。まず、排卵から14日たったあとも微熱が続くことと、生理が来ないことです。

プロゲステロン(黄体ホルモン)の作用によって体温が高くなったあと、妊娠がない場合は生理が開始するとともに体温が下がっていきます。しかし妊娠がある場合は、生理がくることはなく、体が子宮内の環境を維持しようとプロゲステロンの分泌量も下がることはありません。むしろ黄体ホルモンの分泌量がどんどん上がるため、普段の高温期よりも体温も高めになることがあります。

妊娠の際は微熱とともに、胸の張りや吐き気、頭痛などがみられる場合もあります。吐き気や頭痛といった変化は、いずれも風邪とよく似ている症状ではありますが、生理が来ているかどうかが最もわかりやすい目安になります。

生理がこないからといっても、ただ体調不良などが原因で生理周期が遅れているだけという場合もあります。妊娠の可能性も考えられるときは、やはり心が落ち着かないもの。気にすることでストレスを抱え、さらに生理予定日が遅れてしまう、なんてこともあります。
産婦人科を受診したり、妊娠検査薬を使ってみるなど、確実な方法で判断するようにしましょう。

月経前症候群による微熱との違い

生理前に起きる月経前症候群では、多様な症状を併発していることがあります。イライラや不安を抱えたり、うつうつとした状態になるなどの精神的な不調。それから腹痛や頭痛、過食や胸の張り、便秘といった身体的な不調。

生理前に、微熱のほかにこのような症状が現れたときは、月経前症候群を疑ってみましょう。微熱が起こるときと同様、月経前症候群は、生理前の体内でプロゲステロンの働きが優位になっているときに起こります。

月経前症候群の特徴は、とにかく人によって症状が多岐にわたるところです。イライラや不安によって情緒不安定になり、仕事も手につかなくなってしまう場合も。強い眠気も、仕事を妨げる要因ですね。また、肌荒れやむくみ、過食による体重の増加で、美容面でトラブルを抱えてしまうケースもあります。

実は生理前の不調の多くが、この月経前症候群であるといわれています。症候群というとなんだか物騒で危険な病気のように聞こえがちですが、症状の軽いものを含めると女性のほとんどが経験するものなので、過度に不安がる必要はありません。詳しくは後述しますが、月経前症候群にはさまざまな対処方法、向き合い方があります。自分に合った方法で、上手に改善していきましょう。

女性ホルモンが乱れる原因って?

ホルモンバランスが乱れることによって、生理前に限らず自律神経の機能が低下して冷えやのぼせなど体温調整機能の異常が出現することがあります。これらの症状は、ホルモンバランスを整えてあげることで軽減できる可能性があります。

自律神経の乱れに悩まされないためにも、ホルモンバランスの維持は常に意識しておきたいところです。ホルモンバランスを維持するために、乱れやすくなるいくつかの要因を、順番にご紹介していきましょう。
※ホルモンバランスが乱れる(無排卵周期になる)と月経前症候群は出にくくなります。

ストレス

通勤や通学に遅れてしまいそう。家事に追われて休む暇がない。友人や同僚との人間関係が面倒。仕事でミスをしてしまった。日々を過ごすなかで、大なり小なりストレスとなる要因は、いたるところに転がっているものですよね。実はこうした「ちょっとした出来事や認識のすれ違い」を「ストレス」だと勘違いして抱え込んでしまうことが、ホルモンバランスを乱す原因の1つに。

ストレスという勘違いを定期的に解消してあげることは、ホルモンバランスの乱れを抑えることにもつながります。趣味の時間をつくるなど、「嫌なことを嫌々やっている」時間を減らしリラックスできる自分の時間や「やりたいことをやる」時間を増やす工夫をしてみるのがおすすめです。

性格的にストレスをため込みやすい人は、このストレス解消を特に意識してみてください。また、仕事が忙しく、どうしても自分の時間をつくれないという人は、自分の生活のペースを一度見直してみるなど、立ち止まる時間をつくってみるのも良いでしょう。

食生活の乱れ

栄養の偏った食生活も、ホルモンバランスを乱れさせる原因となります。過度に食事を摂りすぎるなどももちろんNGですが、特に女性に多いのは、食事制限をする無理なダイエットをしてしまうケースです。

朝、昼、晩と三食しっかり食事を摂るという基本的なことから、食事をする時間を決めて守るなど、規則正しい食生活を心がけるようにしましょう。もし心当たりがある場合は、生理前のトラブルを少しでも軽減するためにも、食生活を1度見直してみてください。

運動不足

運動不足などによる体の基礎体力の低下も、ホルモンバランスの乱れにつながります。簡単なストレッチやウォーキング、ランニングなどを生活に取り入れるのがおすすめです。
ウォーキングやランニング、そのほかスイミングなど、運動は体力不足を補うだけではなく、ストレスの解消にもつながります。ぜひ空いた時間に実践してみてください。

睡眠の質の低下

起きる時間がバラバラだったり、そもそも睡眠時間が短いなど、睡眠の質の低下も大敵です。睡眠は量よりも質といわれています。どれだけ長い時間睡眠を取っていても、質が良くなければ、ホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があります。

睡眠不足に悩んでいる場合は、枕を変える、照明などの暗さを調整してみる、アロマなどの良い香りや音楽でリラックスしてみるなど、自分に合った快眠の方法を探してみてください。

もしも月経前症候群の場合は?改善・治療する方法

ご自身が月経前症候群かもしれないと思っても慌てずに。改善や治療方法はしっかりとあります。
さまざまな症状が見られる月経前症候群は、その対処方法にもいくつかの種類があります。順番にご紹介していきましょう。

カウンセリングでメンタルケアを

イライラや不安を抱えるなど、精神的な面での不調が目立つ場合は、カウンセリングを受けてみるのがおすすめです。メンタルケアでは、カウンセラーから不都合を発生させている考え方の悪いクセを変えるためのヒントやコツをもらい、生理前のつらい時期を乗り切る手伝いになってくれるはずです。

食生活に気をつける

月経前症候群では、過食による体重増加も悩みのタネとなります。甘いものや間食はなるべく控えるようにしましょう。

とはいえ、どうしても食欲が抑えられず、我慢をすると逆にストレスになってしまう場合もありますよね。そういうときは、カロリーの低いものを食べたり、噛む回数を増やすことで早めに満腹感を抱くようにするなど、工夫をしてみてください。砂糖類は最も控えたほうがよい食品なので、どうしても甘味が欲しい時は羅漢果(らかんか)などの吸収されない糖分をうまく利用するとよいでしょう。

睡眠で改善する

生理前のほてり感は、睡眠をしっかりとったり、クラリセージなどの自律神経を整えるアロマオイルを活用したりして、ある程度軽減を図ることができます。寝不足は体温を上げることになりますから、生理前の時期は特にしっかりと良質な睡眠をとるようにしましょう。

生活に支障をきたす場合は、病院へ相談を

自分でできるケアにどうしても自信がなかったり、症状が重いという場合は、迷わず婦人科へ受診しましょう。医師の適切な指導のもと、正しい用法用量で治療することで、月経前症候群を改善させることができます。

月経前症候群の改善に効果的な薬の1つは、漢方です。加味逍遥散(かみしょうようさん)、桃核承気湯(とうかくじょうきと)、抑肝散(よくかんさん)などは、イライラや不安などの精神不調を落ち着かせるのに効果的です。

もう1つは、ホルモン治療(低用量ピルや超低用量ピルの服用)をするという方法。
低用量ピルは排卵を止め、プロゲステロンの分泌を抑えるという効果があります。結果として、ホルモン分泌の波が小さくなり、月経前症候群の軽減につながります。

通販サイトなどを使えば自分でそろえることのできる薬も多いですが、正しい用量で適切に服用するためにも、婦人科に相談するのが確実です。ピルはいずれもまれに副作用を引き起こすこともありますので、注意が必要です。

漢方療法やホルモン療法を利用するほかにも、精神不調があまりにもつらい場合は、医師に相談し抗うつ剤や抗精神薬を処方してもらう方法もあります。

月経前症候群は、人によって引き起こされる症状や、その程度もさまざまです。
自分の症状に合ったケアを心がけるようにしましょう。

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私がお答えしました

産婦人科医 清水なほみ
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~院長。女性特有の病気を中心に日頃の不調を改善するためのアドバイスをいたします。

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