15.04.09  更新:17.09.29

生理前、生理中になると情緒不安定に!不安な気持ちの押さえ方とは?

3行でまとめると?
  • PMSの症状は、生理が来たら治まる場合が多い
  • 生活を改善するセルフケアでホルモンバランスを整えると、PMSの症状が緩和する場合がある
  • PMSの病院での治療は、ピル、漢方、対症療法などがある

目次

PMSとは?どんな症状が出る?

PMSとは?

月経前症候群(Premenstrual Syndrome=PMS)は、排卵後から生理の直前の時期にかけて、様々な体調不良や精神的な症状が出て、生理が来たとたんにそれらの症状がすっかり消えてしまう病気です。

排卵後から生理までの約2週間近く具合が悪い人もいれば、生理直前の1日だけ寝込んでしまうという人もいます。

PMSの主な症状とは?

以下のような症状がある場合は、PMSである可能性があります。

PMSの症状:身体的症状
・下腹部痛
・腰痛
・頭痛
・めまい
・吐き気や嘔吐
・ひどいむくみ
・便秘
・ニキビ
・肩こり
・手足のしびれ
・微熱やほてり
など

PMSの症状:精神的症状
・イライラ
・怒りっぽくなる
・人や物に八つ当たりしやすくなる
・普段気にならない些細なことが気になる
・気分の落ち込み
・意欲の低下
・集中力の低下
・仕事がいつものペースでできなくなる
・不眠
・理由もなく突然泣きたくなる
・過食
・甘いものばかり食べ過ぎる
など

PMSの症状は生理が来たら治まる
精神的な症状の場合、うつなどの精神科的な病気との区別がつけにくい症状が多いのですが、「生理前から始まり生理が来たらすっかり症状が消えてしまうかどうか」で判別します。「あんなに不安でイライラしていたのに、生理が来たら気持ちが落ち着いた」場合は、PMSである可能性があります。

PMSの原因とは?

なぜこんなに、生理前になると様々な症状が出るのでしょうか。

はっきりとした原因は解明されていませんが、一説に排卵後にたくさん分泌される「黄体ホルモン=プロゲステロン」が影響しているのではないかと言われています。排卵後に黄体ホルモンが急激に増えるので、そのホルモンの「波」に振り回されてしまうのです。

生理周期と女性ホルモンの関係とは?

女性の体は毎月の女性ホルモンの「波」によって変化しています。

生理周期は、
生理期→卵胞期→排卵期→黄体期
と、4つの時期に分かれており、PMSの症状が出現するのは「黄体期」です。

[生理期]
生理期にはそれまで多量に分泌されていた卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が両方とも急激に低下し、子宮内膜がはがれて出血として出てきます。

[卵胞期]
出血が減ってくる生理5~7日目くらいから、脳から卵巣へ「卵子の元を育てなさい」という命令が出始めて、卵巣の中で卵子の元となる「卵胞」が育っていきます。それに伴って、徐々に卵胞ホルモン(エストロゲン)が増えてくるのが「卵胞期」です。

この時期はまだ黄体ホルモン(プロゲステロン)はほとんど出ていないので、卵胞ホルモン(エストロゲン)による効果で心身の状態は安定しており、お肌の状態などもよくなります。

[排卵期]
卵巣の中で卵胞が充分に育つと、脳から排卵命令が出て卵子が飛び出てきます。これが排卵です。排卵の直前まで分泌量が増えていた卵胞ホルモン(エストロゲン)は、排卵とともに一時的にわずかにですが下がります。この、排卵が起きる1~2日間が「排卵期」です。

[黄体期]
その後、排卵した後に卵巣の中に残った「黄体」から、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され始めます。黄体ホルモンの作用で体温が上がるため、基礎体温は高くなり10~12日間高温期が持続します。この時期が、PMSが起きやすい「黄体期」です。

黄体ホルモンの作用とは?
黄体ホルモンには、体温を上げる作用の他にも

・水分を体内にため込みやすくする
・腸の動きを鈍くする
・気分が落ち込みやすくなったりイライラしやすくなる
といった作用があります。

黄体ホルモンは妊娠を継続させる作用を持つホルモンなので、妊娠を目指している人にとっては非常に重要なホルモンですが、そうでない人にとっては心身ともにあまりうれしくない作用を持つホルモンなのです。

そのため、PMSと診断されるほどひどい症状は出ていなくても、生理前には多少の不調を感じるという人がほとんどです。

ホルモンの影響によって、毎月心身の状態が変化することは異常ではありませんので、自分のペースを把握してある程度上手に付き合う方法を見つけることも大事です。

PMSを改善するセルフケア方法とは?

PMSは、普段の生活を改善することで、症状を緩和できる場合があります。

・ストレスをためない
・ハーブティーやアロマを取り入れてリラックスする
・栄養バランスのよい食事をする

など、セルフケアを行い規則正しい生活を心がけましょう。

ストレスはPMSの敵

いわゆる「ストレス」や栄養の偏りはPMSを悪化させますので、できるだけハードワークを避けて「自分のペースで自分のための時間を持つ」ということが重要です。

特にPMSで情緒不安定な時に、無理は禁物です。自分が好きなことをするなどして、気分転換をしてみましょう。

周りに振り回されない
特に、PMSになりやすい人は、「自分で決める」ということが苦手で、自分以外の物や人に選択や進行方向をゆだねてしまいがちです。

逆に言えば、外からの刺激に「振り回されやすい」状態になっているといえます。その状態で、いわゆる「ストレス」がかかると、余計に混乱しやすくなり、ホルモンにも振り回されるというスタンスをとってしまうことになるのです。

リラックスできるアイテムを取り入れる

いわゆる「ストレス」を感じた時は、ハーブティーやアロマなど、自分なりのリラックスアイテムを生活の中に取り入れて、気軽に気分転換できるようにするとよいでしょう。

ハーブティー
おすすめのハーブティーは、ローズヒップやハイビスカスなどビタミンCが豊富なもの。むくみが気になる人はダンデライオン(タンポポ)など利尿効果のあるハーブティーを飲むのもおすすめです。

アロマセラピー
お風呂の中に精油をたらすアロマバスや、アロマオイルでのマッサージは、自宅で簡単に行うことができます。ホルモンバランスを整えてくれる代表的なアロマオイルは、ゼラニウム・クラリセージ・イランイラン・サイプレス・ローズなどがあります。

最近はこれらのオイルがあらかじめブレンドしてあるマッサージオイルも市販されているので、香りの好みに合わせて楽しんでみてください。

入浴剤
自分の気分が「上がる」入浴剤やマッサージオイルを用意するだけで、普段は面倒だと感じる入浴タイムが「楽しみな時間」に変わります。毎日行っている行動に、いかに「自分を喜ばせる要素」を取り込むかが鍵になるのです。

栄養バランスのよい食事をする

PMSの軽減には栄養バランスの改善も重要です。
パン・ご飯・麺類などの炭水化物や甘いもの・カフェイン類などの嗜好品は避けて、緑黄色野菜・小魚・ナッツ類を積極的に摂りましょう。

サプリメントをうまく活用する
ビタミンB群やE群・γリノレン酸・カルシウムをサプリメントで補うのも効果的です。また、チェストツリーやセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)などのハーブはPMSの症状を改善すると言われています。

血糖値の急激な変化を避ける
血糖値の乱高下が起きると、イライラやだるさなどを引き起こしやすくなります。

空腹時に甘いものや炭水化物をいきなり摂る血糖値が一気に上がってしまいます。その後少し遅れて血糖値を調整する「インスリン」というホルモンが出るため、インスリンがピークになる頃には逆に低血糖になってしまいます。この、血糖値の急激な変化が、PMSの症状を悪化させる要因となるのです。

そのため、PMS対策に糖質制限と血糖コントロールは非常に重要になってきます。間食に砂糖が含まれたものや炭水化物は摂らないようにして、アーモンドなどのナッツ類を摂るようにしましょう。

主食は、パンや白米よりも、玄米や雑穀米の方がおすすめです。そうすることで、血糖値が徐々に上がるようにコントロールできます。

また、食事の間隔を開けすぎないようにして、食事を摂る時には野菜類→タンパク質(肉・魚)→主食(ご飯やパン)といった、コース料理を食べる時の順でいただきます。

病院で行うPMSの治療法とは?

生活改善や食事改善でも十分にPMSの症状が改善しない場合は、病院で治療を受けた方がよいでしょう。

病院で提案されるPMSの治療法には、

・低用量や超低用量のピルによる治療
・漢方治療
・症状に合わせた対症療法

があります。
その他に、食事や生活改善の方法を指導してもらったり、精神症状がメインの場合はカウンセリングをすすめられることもあります。

ピルによるPMSの治療
ピルは、排卵を抑えることによってホルモンの「波」が起きないようにする作用があるため、体調の波も出にくくなります。飲み始めに軽度の吐き気や頭痛などのマイナートラブルが出る場合がありますが、ピルが禁忌の人を除けば、ほとんどの方は安全に服用できる薬です。ピルが飲めない場合についてはこちら「ホルモンバランスをピルで整える?ピルの効果と注意点」をご覧ください。

日本では「PMS治療のためのピル」は発売されていませんが、月経困難症治療薬として発売されている超低用量ピルが、海外ではPMDD(月経前気分障害)の治療薬として使われているものと同じ成分です。

PMS治療目的の場合は、ピルの処方も保険が適用されるので、薬剤の代金は1か月分が約1500~2500円程度になります。

漢方によるPMSの治療
漢方治療は、生理前に出る症状に合わせて、その時期の体質を改善する治療法です。例えば、生理前にむくみがひどくなる場合は、余分な水分を体から排出しやすくする漢方を用いたりします。

漢方治療も基本的には保険が適用になりますが、一部の漢方専門外来では自費診療となることもあります。漢方の費用は種類や量によって異なりますが、1か月分で約2000~3000円程度になります。

対症療法によるPMSの治療
対症療法とは、腹痛や腰痛に対して痛み止め、便秘に対して便秘薬、不眠に対して睡眠導入剤、といった症状を「抑える」治療です。

根本解決にはなりませんが、ある程度出やすい症状と時期が決まっている人は、対症療法だけで体調をうまくコントロールしてPMSと付き合っていくことも可能です。

いずれの治療も婦人科で可能ですので、まずは基礎体温とPMS症状の記録をつけて婦人科で相談してみるとよいでしょう。

精神的な症状が重症な場合は精神科へ
また、身体症状がほとんどなく、気分の落ち込みや不眠などの精神症状がメインで出ている場合や、「生理前になると死にたくなる」「薬を多量に飲んでしまう」など、精神的な症状が重症な場合は、婦人科ではなく精神科を受診しましょう。

精神症状は、投薬だけでなくカウンセリングも重要な治療となりますので、できればカウンセリングをきちんと行っている精神科や心療内科を選ぶことをおすすめします。

我慢しないで早めに相談しよう
PMSは精神的な症状がメインのことも多いので、「こんなことで病院に行くなんて」「自分の我慢が足りないだけなんじゃないだろうか」と受診をためらってしまう方も多いようです。

でも、少なくとも自分で辛いと感じる症状が出ていたり、日常生活に支障が出ているようであれば、早めに病院で相談した方がよいでしょう。

多くの女性が悩んでいるPMSですが、生活改善などのセルフケアや病院での治療で、改善できる場合があります。生理前になるたびに、感情のコントロールができなくなるのは辛いですよね。自分に合った対処方法を見つけて、辛いPMSの症状を乗り切りましょう!

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私がお答えしました

産婦人科医 清水なほみ
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~院長。女性特有の病気を中心に日頃の不調を改善するためのアドバイスをいたします。

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