15.04.09  更新:17.11.09

生理前、生理中に起こる、貧血の原因と対処法とは?

3行でまとめると?
  • 生理前か生理中か?貧血が起こるタイミングによって原因が異なる
  • 生理中の経血量が多いかどうかチェックをしよう
  • 鉄剤や食生活改善など、適切な治療方法で貧血改善を

生理前、生理中のふらつきは貧血が原因とは限らない!

月経前(生理前)や月経中(生理中)にふらつきや、立ちくらみになったという方は少なくありません。生理中は出血が多いため、「ふらつき=生理のせい」と考えるかもしれませんが、実際にはふらつきの原因がすべて貧血のせいとは限りません。

※「生理」は医学的には「月経」といいますが、ここでは以下、一般的になじみの深い「生理」という表記に統一いたします。

健康診断で毎回貧血を指摘されるという場合は、普段から貧血傾向ですからその症状が月経前症候群と重なってひどくなったり、生理中はさらに貧血になって症状が出やすくなる可能性はあります。

また、経血量が多い人は、普段は大丈夫でも生理の終わりごろには貧血になっている場合があります。経血量が多ければ、出血し始めて3~4日目には摂取する鉄分よりも失った血液の方が多くなりますから、貧血になりやすいのです。

その「ふらつき」は貧血以外が原因かも

ただ、検査をしても貧血ではない、つまりヘモグロビン(Hb)の値は正常という場合は、ふらつきや立ちくらみの原因は「貧血」ではなく自律神経失調症や低血圧の可能性が考えられます。

・自立神経失調症
特に生理前は、出血していないわけですから貧血が進むということはあまりありません。むしろ、生理1~2週間前はホルモンの波の影響を受けて自律神経のバランスが乱れやすくなり、めまいや立ちくらみなどの症状が起きることがあります。

・低血糖の症状
生理前に甘い物を多く摂る人の場合、低血糖症状として立ちくらみや動悸・冷や汗などの症状が出る場合があります。空腹時や寝る前に甘い物を摂ったりすると、その数時間後に低血糖になることがあります。夜食に甘い物を摂って、朝起き上がれない場合などは、生理が原因による貧血ではなく、低血糖の影響を受けている可能性が考えられます。

外出先でのめまいや、立ちくらみがした時の対処方法

めまいや立ちくらみなどを感じると、急なことに驚いてしまいますよね。突然、貧血のようなふらつきを感じた時の対処方法をご紹介します。

まずは体を安静な状態に
めまいや立ちくらみが自宅で起きた場合は、そのまま横になっていればいいのですが、外出先で起きた場合は注意が必要です。いきなり倒れてしまわないように、少しでもクラっときたら、まずは近くに座るようにしましょう。

水分や糖分補給も効果的
吐き気を伴っていなければ、水分を補ったり、低血糖症状が疑われる場合は飴をなめるか糖分が入っている飲み物を飲むといいでしょう。普段から貧血があって、倒れそうになった場合は、危険なレベルの貧血になっている可能性がありますので、少し休んで症状がよくなってもその足ですぐに受診が必要です。救急車で搬送されたりすることのないように、健診などで貧血を指摘された時には放置せず必ず受診しましょう。

貧血以外の要因で立ちくらみが起きる場合、過労や寝不足など何らかの負担がかかりすぎた時に症状が出やすくなる傾向があります。日頃から生活リズムを整えて、「これ以上無理をしたらダメ」という自分なりのラインを把握しておくことが大事です。

また、血圧が低めの人は、水分補給をこまめにしたり、ひざ下を圧迫する着圧式のストッキングや靴下をはいて血圧が急に下がるのを防ぐのも一つの方法です。

あなたの貧血や立ちくらみが起こるのは、生理前?生理中?

前項では貧血の原因は必ずしも生理が原因ではないとご紹介しましたが、貧血やふらつきが生理によって引き起こされる場合も、もちろんあります。貧血やふらつきが起こる時期が生理前なのか、生理中なのかによって、引き起こされる原因を予測することができます。

生理前に貧血や立ちくらみが起こる場合

生理前、つまり、排卵から生理までの約2週間は「月経前症候群(PMS)」が起きやすい時期です。このような生理前の時期にたくさん分泌される黄体ホルモンの影響を受けて、立ちくらみだけでなく、頭痛・腰痛・腹痛・イライラなど様々な心身の不調が出ることがあります。

また、生理前に貧血や立ちくらみが起こるケースとして、自律神経が影響している可能性も考えられます。生理前の期間は黄体ホルモンが水分代謝に影響を与えるので血圧に変動が起きやすかったり、自律神経への影響を及ぼすことがあります。

自立神経が乱れることへの体の影響とは?

「自律神経失調症」は生理前に限らず症状が出る可能性がありますが、特に生理前にひどくなることがあります。そもそも、「自律神経失調症」とはどのような病気でしょうか?

何か検査をして「異常な値」が出るような物ではなく、様々な心身の不調が出ているにもかかわらず検査をしても何も異常が出ない場合に「自律神経失調症」と診断されます。自律神経は全身の各臓器の機能をコントロールしているために、自律神経の働きが乱れると全身の様々な不調が現れます。

よく見られる症状としては次のようなものが挙げられます。

・慢性的な疲労感
・ダルさ
・息切れ
・肩こり
・手足のしびれ
・むくみ
・めまい
・耳鳴り
・吐き気
・胃の痛み
・動悸
・発汗
・極度の冷え性
・食欲の低下
・おなかの張り
・下痢や便秘
・寝つきが悪い
・途中で何度も目が覚める
・気分が落ち込む
・やる気が出ない

これらの症状は、甲状腺機能の異常や仮面うつ病などのほかの病気でも出現するため、同じような症状が出ているからといって、それが必ず「自律神経失調症」とは言い切れ場合があります。自律神経失調症が疑われた場合も、まずは心臓の働きやホルモンのバランスなど、他に明らかな異常がないかどうかを内科や脳外科で検査した方が安心です。

自立神経を整えて、生理前の貧血や立ちくらみを改善しよう

紹介したように自律神経に乱れが生じると心身ともに、様々な不調があらわれ、日常生活にも影響が出てしまいます。自律神経を整えるにはどのようなことに気を付ければいいのでしょうか?

血糖コントロールで、自立神経を整る
生理前に立ちくらみがひどい場合は、上記の自律神経のバランスを乱す要因をできるだけ取り除いたり、栄養のバランスを整えたりや血糖値のコントロールをすることである程度症状を軽くできる可能性があります。

栄養の摂り方は「バランスよく」が基本ですが、多くの場合、ビタミン&ミネラルが不足して糖質が多すぎる状態になっています。色の濃い野菜や赤身のお肉などをしっかり摂ったり、足りない栄養素はサプリメントで補ったりするとよいでしょう。

逆に、糖質、特に甘い物が多い場合は、間食に砂糖が含まれているものは摂らないようにして、炭水化物(主食)のみの食事は控えた方がベターです。食事を摂る時も、「野菜類→肉」や「魚→主食」といったコース料理を摂る時の順番で食べると血糖値の変動を小さくできます。

これらの自分でできる改善法を試しても症状がよくならない場合は、我慢せず婦人科を受診しましょう。ピルや漢方で症状を和らげることが可能です。

生理中に立ちくらみなどが起こる場合は、貧血の可能性が。

生理の時期とは関係なく、立ちくらみ・動機・息切れなどの症状があり、生理時期にさらにひどくなる場合は、ふらつきの原因は「貧血」の可能性が高くなります。血液検査で貧血を指摘さている場合は確実ですし、検査では引っかかっていないけれど生理の時期だけ上記の症状が出るという場合も貧血傾向になっている可能性が考えられます。

そもそも貧血とはどういう状態?

貧血とは、血液中の「赤血球」が少ない(小さい)またはその色素が薄い状態です。
赤血球は酸素を全身に運ぶ役割を持っていますので、貧血になると全身が酸素不足の状態になります。なので、薄い血液でも十分な酸素を巡らせようと、心臓が動く回数を増やして酸素不足になるのを防ごうとします。そのため、貧血が進むと脈が速くなって「動悸」という症状が出るのです。

生理以外にも、胃や腸や肛門からの出血が続いていたり、摂取した鉄分をうまく利用できないような血液の異常があったりしても貧血になりえますが、女性の貧血の多くは生理が原因が多いようです。

生理時の貧血は、まず出血量をチェック

生理時に貧血を感じる人は、まず、出血量が増えていないかチェックしてみましょう。
例えば子宮筋腫・子宮腺筋症・内膜ポリープなどによって生理時の経血量が増えたりしていませんか?

また、1回の出血量が増えていなくても卵巣機能の異常で生理周期が20日以下など短くなったり、生理期間が8日以上と長く続く場合はトータルの出血量は増えた状態になりますので貧血の原因になりえます。

過多月経により貧血を起こすケース

経血量が通常より多いことを「過多月経」といいます。 ただ、「普通の量」がどのくらいなのか、人と比べることもできないのでわかりにくいですよね。以下の項目のいずれかに当てはまる人は、過多月経の可能性があるので一度は婦人科で検査を受けた方がいいでしょう。特に、動悸や息切れなどの貧血症状がある場合や、血液検査で貧血を指摘されている場合は注意が必要です。

<過多月経の症状>
・多い日はナプキンが1~2時間でいっぱいになる
・タンポンとナプキンの両方を使わないと不安
・昼間でも夜用ナプキンが必要
・3日目以降もレバー状の塊が多量に出る
・月経時や月経直後は立ちくらみや動悸が気になる
・健診で常に貧血を指摘される

過多月経の原因とは?
過多月経の原因として多いのは、子宮筋腫や子宮腺筋症です。
子宮筋腫は、子宮の壁にできる良性のコブで、できる場所が子宮のお部屋の中に近いとサイズがそれほど大きくなくても経血量が増えたり、生理期間が長引く原因になります。また、サイズが大きくなるとともに子宮内にも筋腫が飛び出してきて、だんだん経血量が増えてしまうこともあります。

子宮腺筋症は、子宮の壁にできる内膜症ですが、過多月経以外にもひどい生理痛や排便痛・性交痛などを伴うのが特徴です。他にも、子宮のお部屋の中にできるポリープ(子宮内膜ポリープ)や子宮の形の異常なども、過多月経の原因になります。

稀に、子宮そのものには問題ないのに、血液が固まる機能に異常が出て経血量が増える場合もあります。経血量が多い場合は、まずは婦人科で超音波検査を受けて、子宮そのものに異常がないか確認した方がいいでしょう。

薬や食生活から貧血改善を目指そう

「貧血っぽいかも」…などと貧血は身近な病気の1つですが、貧血をそのまま放置するのは非常に危険です。自覚症状が起こっている場合は、危険な状態まで進行していると考えていいでしょう。健康診断での結果で「貧血」とされた場合は、受診をし、適切な治療を受けるようにしましょう。

鉄剤による貧血治療
貧血の治療は鉄剤の服用または注射です。 注射の場合、頻回な受診が必要になってしまいますので、通常は内服薬で治療を行っていきます。人によっては副作用として胃の痛みや吐き気、便秘などの症状が出る場合があります。

中には副作用が強すぎて鉄剤が服用できないという方もいらっしゃいますので、その場合は注射で治療を行うしかなくなります。

サプリメントや食事から効率的に鉄分摂取を
薬で鉄分を補うだけでなく、日頃から鉄分の多い食品を摂るように心がけたり、サプリメントで貧血を予防することも効果的です。

鉄分を多く含む食品としては、次のようなものが挙げられます。

・赤身の肉や魚
・アサリやシジミ
・緑黄色野菜
・プルーン

サプリメントで摂る場合は「ヘム鉄」という成分が含まれたもので規定量を守って、摂取するとよいでしょう。鉄分を効率よく利用するために、ビタミンCや葉酸も一緒に摂取するとより効果的です。

生理時の経血量が多い場合はホルモン剤による治療も
生理時の経血量が多い場合や度々生理が来る場合、いくら鉄分を補っても生理でどんどん血液を失ってしまいますから十分な治療にはなりません。また、毎月の生理による経血量が原因で少しずつ貧血が進行していった場合、体が貧血の状態に慣れてしまい、かなり重度の貧血にならないと自覚症状が出ないことがあります。自覚的に辛い症状がなくても、血液検査で貧血があった場合はきちんと薬を飲むことが大切です。

生理時の経血量を減らす方法は、低用量ピルや黄体ホルモン剤で出血の元となる子宮内膜を薄くしていく方法と、偽閉経療法といってホルモン剤で閉経の状態を作り完全に生理を止める方法があります。

生理前や生理中のふらつきや立ちくらみなどの、貧血のような症状は、その原因がいくつも考えられるため、自分自身では解決策が見つからないかもしれません。前述したように、貧血は放っておくと、危険な状態にもなりかねません。貧血のような不調を感じる場合は、放っておかずに病院への受診をするようにしましょう。

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私がお答えしました

産婦人科医 清水なほみ
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~院長。女性特有の病気を中心に日頃の不調を改善するためのアドバイスをいたします。
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