15.04.09  更新:18.11.12

イライラで悩む生理の不調!かしこい解消方法とは?

3行でまとめると?

生理前にイライラする原因って?

女性の心身の状態は、毎月のホルモンの「波」によって目まぐるしく変化していきます。月経(生理)前にイライラしてしまうのは、こういったホルモンバランスの変化による影響を体が受けているから。
生理前のイライラに大きく関係しているのは、生理周期の間に卵巣からでる、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」と呼ばれる2つの女性ホルモンです。

※「生理」は医学的には「月経」と言いますが、ここでは以下、一般的になじみの深い「生理」という表記に統一いたします。

生理前のイライラに関係する、2つの女性ホルモン

生理前のイライラには、2つの女性ホルモンが大きく関係しています。それぞれの女性ホルモンの特徴や機能について、まずはわかりやすくご紹介していきます。

卵胞ホルモン(エストロゲン)の特徴
卵胞ホルモンは一般的に心身の状態を安定させる作用を持っています。 子宮内膜を厚くさせていくというだけでなく、以下のような作用があります。

・骨を丈夫にする
・肌の調子を整える
・コレステロールや血糖値の上昇を抑える
・脳の働きを助ける
・皮膚や粘膜に潤いを保つ
・抑うつやイライラを抑える
・自律神経のバランスを整える

そのため、生理後から排卵までの時期は、比較的心身の状態が良好であることが多く、イライラなどの精神症状もでにくい時期と言えます。

黄体ホルモン(プロゲステロン)の特徴

黄体ホルモンは別名「妊娠のホルモン」と言われ、妊娠を成立、また継続させるために非常に重要な働きを持っています。卵胞ホルモンの働きによって厚みがでた子宮内膜を、着床に適した状態に変化させ、妊娠が継続しやすくするのです。

しかし、妊娠にとって大切なホルモンという一面を持つ反面、どちらかというと体調の悪化を招く作用もあります。

・体温を上げる
・水分を体にためる
・胃腸の動きを鈍らせる
・血液をうっ滞させる
・皮脂分泌を促す
・乳腺を発達させるなどの作用があるために起きる、むくみ
・ダルさ
・体重増加
・便秘
・肩こり
・ニキビ

この黄体ホルモンが情緒不安定やイライラなどの精神症状も引き起こすため、生理前にイライラしやすくなったり、精神的に不安定になる場合があるのです。

女性ホルモンのバランスは、生理周期で変動する

生理が終わってから再び生理が始まる前までの間を、生理周期と呼びます。この生理周期の間で、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量が変化がします。
正常な生理周期の人であれば、28~35日くらいの周期で
月経期 → 卵胞期 → 排卵期 → 黄体期
というサイクルを繰り返していき、周期的にホルモンの増減が起きます。

月経期とは?
月経期は、卵胞ホルモンも黄体ホルモンも最も低くなる時期で、2つのホルモンが下がることによって子宮内膜がはがれて出血として排出されます。通常は5~7日間継続します。

卵胞期とは?
卵胞期は卵巣の中で排卵の準備が進んでいく時期で、卵胞ホルモンが徐々に増えていきます。この時期は、まだ黄体ホルモンの値は低く、ほとんど分泌されていません。月経周期が28日の人であれば、卵胞期の継続期間は7~10日間くらいになりますが、周期が長い人はこの卵胞期が長くなります。

排卵期とは?
排卵期は脳から排卵の命令がでて卵巣から卵子が飛び出てくる時期で、1~2日の期間しかありません。徐々に増えてきた卵胞ホルモンが一気に上昇し、その後、若干下がります。

黄体期とは?
黄体期は排卵後から次の月経が来るまでの時期で、妊娠が成立しなければ約14日間で終了します。排卵してから月経が来るまでの期間はほぼ一定のため、月経周期に関係なく黄体期の期間はほぼ2週間です。

この時期は卵胞ホルモンも増えていきますが、イライラなどの精神不調を引き起こす原因にもなる黄体ホルモンも一気に上昇します。妊娠していなければ、約10日でホルモンのピークは終わり、その後は徐々に下がっていきます。両方のホルモンが下がりきると、子宮内膜がはがれて生理が起き、「月経期」に戻ります。

生理前は注意!ストレスにはPMS(月経前症候群)との関係も

生理前にイライラする原因として、ホルモンバランスの影響がある、とお話ししましたが、そのような生理前の心身の不調が増すと、「PMS(月経前症候群)」と呼ぶようになります。これはだれにでも起こるものではなく、人によってはまったく症状が表れない人もいます。

実は、ストレスは、PMSの増悪因子と言われています。
自分にとって心身の負担が大きい生活や時間の制約が多い生活をしていると、イライラなどの症状はでやすくなってしまうのです。実際に、普段PMSの症状が重い人が、夏休みなどで長期休暇をとっていた月だけ、不調がほとんどなかったりするというケースもあります。

生理前のイライラが重くなってきている場合は、日々の生活の中で「○○したい」よりも「○○すべき」を優先していないかチェックしてみるようにしてみましょう。

生理前だけでなく、生理中にもイライラすることも

前述したように、生理前は黄体ホルモンの影響を受けて生理前はイライラしやすくなりますが、人によっては生理中にもイライラが続くことがありますよね。

生理中にもイライラしてしまうには、2つの理由が考えられます。
1つは、生理中(月経期)になると、心身の安定を与える卵胞ホルモンが下がることによって、精神的な安定が得にくくなるため。そして、もう1つは、生理中の腹痛や腰痛などの身体的負担が、イライラを誘発している可能性が考えられます。

基礎体温をつけて、具体的なイライラの原因を突き止めよう

PMSと月経困難症がある人の場合、排卵後から月経期までずっと心身の不調が続き、調子がよいのは月のうち卵胞期の約1週間しかない、というケースもあり得ます。

PMSとは、生理1~2週間前から生理が来るまでの時期に出現する心身の不調のことです。PMSの症状にはイライラや情緒不安などの精神的なものや、頭痛やめまいなどの身体的なものまで様々な症状があります。

月経困難症とは、生理中に起こる不調を指します。PMSと同じように、精神的なものや、身体的なものなど様々な症状が存在します。

どの時期にどのような症状がでているのかを、基礎体温とともに記録をつけてみると、イライラの原因が、月経前症候群なのか月経困難症なのか、または生理とは全く無関係に起きているのかがハッキリします。

PMSの場合は、排卵後から徐々に症状が出現し、生理が来ると解消されていきます。基礎体温の記録をつけた結果、生理が終わる時期から排卵期にかけてもイライラがでているという場合は、ホルモンの変動とは関係のない症状の可能性が高くなります。

また、常にイライラはあるけれど生理前に特に重くなるという場合も、ベースにイライラしやすい別の疾患があって、それがホルモンの変動の影響を受けて生理前に増悪しているだけの可能性が考えられます。

生理時のイライラをコントロールする方法とは?

イライラした時の対処法ですが、ひとまず現時点でのイライラを何とかしたい場合は「いったん今の流れを止める」ことが有効な場合があります。

例えば、何か作業をしていてうまくいかずイラついた時はいったん作業を中断してその場を離れ、トイレに行ったり飲み物を飲んだり深呼吸したりして現在の流れをリセットします。目の前で子どもが騒いでイライラしてしまったり手を上げそうになった時も、ひとまずその場を離れる…ということは、イライラを抑える上で効果的です。

1日をイライラした状態で過ごしてしまい、寝るときになってもイライラが止まらないという場合は、リラックス効果のあるアロマオイルやバスソルトを使って、ぬるめのお湯でゆったりとお風呂に使ったり、鎮静作用のあるハーブティーを飲んだりするとよいでしょう。

言語化することで、冷静に判断!

また、「これをすればイライラが治まる」という自分なりのルールを持っておくのもおすすめです。
例えば、イライラした状況やその時の自分の感情を日記のように書き出して、客観的に眺めてみては?文章にしていくうちに冷静に状況を受け止められるようになり、「そんなにイライラする必要はなかったかも」ということに気づくことができるかもしれません。

記録して言語化すると、客観的に自分を見ることができるので、生理時のイライラだけでなく、普段の生活でも活用できます。日常生活や仕事中でも、イライラする時は急に訪れます。そんなイライラを感じた時にも「誰に対してどんな状況で、イライラが出るのか」を記録してみましょう。自分がどんな時にイライラを感じやすいのかが見えてきます。

いつの間にか作ってしまっているマイルールがイライラの原因に
多くの場合、イライラしやすい人は「こうあるべき」「こうあってはならない」というマイルールがたくさんあり、自分自身も他人もその自分が設定した「枠」にはめ込もうとする傾向があります。そこから自分や他人がはみ出た時にイライラが出やすくなるのです。 なので、イライラした時の状況を分析することによって、自分が持っているマイルールを洗い出していきます。

そして、そのルールを客観的に眺めて
「誰が決めたこと?」
「本当にそうでなければいけない?」
「そうしなかったらどうなるの?」
といった質問を自分に投げかけてみるとよいでしょう。

また、イライラするという感情の裏側には、もっと良くなりたいという意欲やこうしたほうがよいという正義感などが隠れている可能性があります。イライラする自分を責めたり、イライラを抑え込もうとするのではなく、自分のイライラの根底にあるそれらの感情に気づいて自分自身をねぎらってあげると、イライラはでにくくなるでしょう。

無理な時間の使い方で、ストレスを作っていませんか?

また、そもそもタスクオーバーだったり、時間的制約が大きすぎると、心身ともに「余裕がない」状態になりますから、誰でもイライラしやすくなります。

「やるべきこと」が多すぎて「やりたい」ことに割く時間がなくなっているようでしたら、まずはどうしてもやらなければいけないこととどちらでもいいことや自分でやらなくてもいいことを整理して「やりたい」ことをする時間を捻出するようにしましょう。

同じ睡眠不足でも、「やらなければいけない」ことを嫌々やっていて、寝るのが遅くなってしまうのと、「やりたくて仕方がない」ことを夢中になってやっているうちに時間がたってしまうのでは、心身へのダメージが全く異なります。

また、好きなことをやっていても、睡眠時間が一定時間より短くなると体力的な限界はやってきますので、自分にとって最低限必要な睡眠時間を把握して、その時間だけは確保するように1日のスケジューリングをしていくとよいでしょう。

振り回されやすい人はPMSの症状がでやすい?

PMSの症状がでやすい人の特徴に、「振り回されやすい」という点が挙げられます。日々の生活の中で、「自分で選択して決める」ということをできるだけ避けたり、常に相手の出方や反応を見てから発言や行動をするクセがある人に多い傾向に。例えば、パートナーや友達と外食する時に、メニューを見て即座に自分で食べたいものを選択する人はこの症状にはなりにくい人といえます。

これは、人生に対する基本姿勢として自分が主役にならないように過ごしているからです。自分の人生のハンドルをきちんと自分の手で握るとPMSの症状はでにくくなるでしょう。特に、人間関係において、自分より人を優先しがちだったり相手の顔色を常にうかがいながら行動していると、自分が主体的に動くことが難しくなります。

人に振り回されないようにするためのコントロール方法
このような人は、自分の人生の車をイメージした時に運転席に誰が座っているのかを、シチュエーション別に確認してみることをおすすめします。

仕事をしている時をイメージしてみて、運転席に口うるさい上司が座っているとしたら、まずはその上司を小人サイズに小さくして、自分が巨人になって、運転席からその人をつまみ出します。そうして、堂々と胸を張って自分の運転席に座り直してしっかりとハンドルを握るという動作をいっていくとよいでしょう。

生理時のイライラ防止に役立つ食べ物とは?

イライラや気分の落ち込みなどの症状がでやすい人の多くは、「糖質」特に甘い物を取りすぎていたり、加工食品やジャンクフードや清涼飲料水を好んで摂っている傾向があります。

若い女性によく見受けられるのが、ランチがおにぎりだけ・菓子パンだけ・パスタだけといった「炭水化物だけ」のメニューになってしまうパターンです。また、「お肉が苦手」などの偏食傾向があり、動物性たんぱく質やミネラルが不足しやすい食事を摂っているケースも少なくありません。

血糖コントロールがイライラを改善!

生理時のイライラを改善させるには、血糖コントロールが重要です。 甘い物や砂糖が含まれているものはできるだけ摂らないようにしたり、上記のような「炭水化物だけ」のメニューは控えて、おかずと主食を組み合わせられるメニューにしましょう。

食事を摂る時には
野菜 → 肉や魚 → パンやごはん
といった「コース料理を食べる順番」食べるようにすると、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。また、食事で十分な栄養が摂り切れない場合は、ビタミンやミネラルをサプリメントで補うのも有効です。

イライラの原因に病気が潜んでいることも
自分で生活改善や食事改善を試みても症状が十分に改善しなかったり、そもそも症状が辛すぎて改善する余裕すらないという場合は、我慢せず病院で相談してみましょう。生理周期とは関連のない、イライラの可能性もあります。

イライラの原因が甲状腺機能異常や鉄不足にないかどうかを血液検査で確認することができます。また、生理周期のどの時期にどの程度の症状がでているのかを、基礎体温とともに記録する「PMSメモリー」をつけることで、症状を客観的に把握することができます。

生理時のイライラ、病院での治療方法とは?

生理時のイライラを病院で治療する場合の治療法は、薬物治療とカウンセリングになります。薬物治療では、イライラを軽減させる漢方を用いたり、うつ状態に伴うイライラが疑われる場合は抗うつ剤を使うこともあります。

低用量ピル・超低用量ピルを使った治療方法
精神症状以外にも生理時の腰痛や腹痛、生理痛などの症状も伴っている場合は、低用量ピルや超低用量ピルが有効です。

超低用量ピルの中には、海外では「月経前気分障害(PMDD)」の治療薬として用いられているものもあり、最近は120日間連続服用が可能なタイプも発売されましたので、ピルを飲んでいても偽薬中や休薬中に心身の変調をきたすという場合は、連続服用することで不調が出やすくなる期間を減らすことが可能です。

カウンセリングでイライラをコントロール
カウンセリングは、一般的なカウンセリングも有効ですが、イライラがメインで気になる場合「認知行動療法」が有効な可能性があります。PMSの症状に特化したカウンセリングを行っている病院はまだ少ないため、知識や理解のあるカウンセラーを探して治療を受けるとよいでしょう。

誰だって、生理周期に関係なく、いつだって気持ちよく過ごしたいものです。まずは、今回ご紹介したように基礎体温をつけるなどして、イライラの原因を見つけ、普段から気持ちをコントロールできる方法を把握しておくようにしましょう。

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私がお答えしました

産婦人科医 清水なほみ
ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~院長。女性特有の病気を中心に日頃の不調を改善するためのアドバイスをいたします。

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